2008年09月07日

イティハーサ

SFマンガの名作「イティハーサ」である。
第31回2000年度星雲賞をコミック部門で受賞している。
なぜ今この作品を取り上げたのか、それは以下の理由による。

先日、嫁と「マンガと小説の表現方法について」話していた。
その中で「小説家がこぞってマンガならでは表現」と舌を巻くカットがこの作品にある。という話になった。
その時「イティハーサ貸したよな?」と僕が言うと、嫁は「読んでない」と答えた。
「確か貸したよなぁ」と思いながら「あれは是非読むべきだ。読みなさい」となり、嫁に全7巻を渡したのだった。

嫁が読んだ後、僕もまた読み返したくなったので読んだ。
以前読んだ時は、分かった気でいたが、理解していなかったことにびっくりした。
これは読んだ後の人生経験が大きいと思う。
以前読んでから6〜7年経っていると思うが、その間僕は人生最悪の時を過ごした。
今はちょっと上向きであるが、まだまだ以前のようにはいっていない。
そんな僕がこのマンガから凄いパワーを貰った。
連載開始から物語の終了まで13年の月日を要した。
その間、「…どの作品も手を抜かなかった。その時にできる限りの努力はした…」とは作者の言葉だ。
そして僕の心に「これは是非ブログで紹介せねば」という使命感がメラメラと燃え始めたのだった(笑)

古代日本を舞台にした物語は「その答えを/求め続けると/気のふれる問いがある」というパラグラフから始まる。
ちなみにタイトルの「イティハーサ」はサンスクリット。意味は「それはそのようにして」とか「歴史物語」とからしい(どちらもネットで検索したので真偽の程は不明)。
「目に見えぬ神々」を信奉する人々が暮らす古代日本に外國から「目に見える神々」がやってくる。
「目に見える神々」には「亞神(あしん)」と「威神(いしん)」の二通りおり、
亞神は善を好み、聖を欲し、平和を望む。
威神は悪を好み、魔を欲し、破壊を望む。
この神々の戦いに目に見える神々を信奉する人々は巻き込まれていく。
透祜(とおこ)、鷹野(たかや)、青比古(あおひこ)の暮らす村も威神の徒党に襲われる。
生き残った三人は、亞神である正法神・律尊(りっそん)の信奉者と行動を共にすることになる。

と物語のはじまりはこんな感じである。
そこに真言告(まことのり)、波長(ひびき)など作者こだわりのネーミングのSF的ガジェットが存在する。
“日本語”には「音」と「意味」が別々に在る。物語の登場人物やガジェットには、その二つの要素が巧みに取り入れられている。
この物語を読んで「漢字とひらがなのある国に生まれて良かったなぁ」と思ったりもした。
韓国の人々はハングル文字を発明したことにより、この楽しさを捨ててしまったんだなぁ。

とにかくSF好きなら読んで損はない物語である。
ファンタジー好きも気安く入り込める物語となっている。

てな訳で五段階評価で当然★★★★★。
posted by smoky_air at 15:29| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イティハーサを拝読して感動しました。

私は今年の6月に56歳になる男ですが読みながら
何度も涙を流しました。

こんな感動作を今年、初めて知るとは・・・
現代の社会システムは歪んでいるのかなぁ。
Posted by 御統貴真 at 2009年03月28日 14:18
作者の水樹和佳子さんの談話を転載します。



イティハーサはサンスクリット語で、日本でいうところの
物語の枕詞『むかしむかしあるところに……』というような
意味です。
 インドで神々の歴史物語を語り部がはじめる時にこの言葉を
はじめにいうそうです。
 『それはこのようにして……』はじまりました……っていう
感じです。

 イティハーサの一番はじめの構想時は実はインド編というの
も考えていた時期がありまして、その頃から自分内でタイトル
が決まってしまっていたので、インド編がなくなってもそのま
まこのタイトルにしてしまいました(^ ^;)。
Posted by 御統貴真 at 2009年04月01日 15:14
このブログがきっかけで読んで下さったのでしょうか?
それでしたら本当に嬉しいです。ありがとうございます。

さらに水樹和佳子さんの談話まで…。
この談話はどこかで読んだ気がしてこのエントリを書く時に探したのですが見つからなかったものです(たぶん)。
重ね重ね、ありがとうございます。
Posted by smoky at 2009年04月03日 11:13
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